2012/01/22 秋元 孝夫
尾根幹線に公共交通を
路面電車が走る欧米の街を幾つも見てしまうと、ついつい身近にも路面電車が有ればいいと思ってしまうのは多くの旅行者の思いと共通するものがあるようなのだが、如何。アメリカはオレゴン州のポートランドで現代の路面電車の仕様に魅せられ、ハードソフトの完璧さに感銘したのを手始めにストラスブールでも終点まで乗ってみて市街地中心部の扱いと郊外へのアクセスの方法と意味、そしてバリアフリーという考え方も学んで、やはり多摩ニュータウンにもあればとついつい発言すると、「そんなの無理、需要がない」と来る。「あなた体験したことあるの!」と切り返したいと思うのだが、経営戦略など心得ていないのでそれ以上は言わないが、思いは続いている。
公共交通が普及することで自家用車の利用を抑制することが出来、地球温暖化に対する多少の効果もあるので普及させたいという考え方のみならず、高齢者が増える時代で、コンパクトに住み続ける街を作り上げるためにも便利な交通手段だと思っている。だから引き続き言説を続けていくのだが、頭ごなしに否定する言い振りには背景の理解の無さにげんなりする。
公共交通の手段には様々なメニューが、いやモデルがすでに世界には沢山ある。いわゆるライトレール(Light rail、軽量軌道)を使って市街地を走る鉄道である。ライトレール交通(Light rail transit 、LRT)とも呼ばれ北米とドイツに多いが、ウィーンでもイスタンブールでも富山でも広島でも市街地に中心部と郊外を結ぶ気軽な鉄道として走っている。軌道交通としては日本でも都電が有名だが未だに利用されて日常の足になっていることは共通の認識だろう。
世界を見ると軌道交通と言っても変わり種もある。写真は中国、廈門(アモイ)のバス専用レーンの軌道(写真:掘内健二氏提供)。高速道路のように見えるが路線バス専用で中心市街地を貫通するように走る。いわば軌道を道路とタイヤに変えたと考えればいい。都心の混雑を避けるための方法としてダイナミックなアクセス手法である。同様にバスで軌道的な運行を行っている都市にブラジルのクリチバがあるがこれは道路に設けた専用レーンを走ることで軌道交通と同等の効果を示すことになる。
こうした観点から、谷側の多摩ニュータウン通りに沿って小田急線や京王線が走っているので、尾根側の尾根幹線を走る公共交通が欲しいと思っている。実際にバス路線も無いので需要がないとも思えてしまうのだが、多摩ニュータウンの北側の土地利用が進まないことや住宅そのものの空き家が議論される中で、利便性をカバーする交通網が欲しいところ。まずは、小田急多摩線の終点、唐木田駅と京王相模原線の稲城駅を結ぶ尾根幹線LRTの実現で尾根幹線沿いの交通渋滞も無くなり沿線の再生も進むと思う。人口減少の心配をするより、都市基盤の整った多摩ニュータウンを完璧に活用して最高のコンパクトシティに改造することが日本人の為にも東京の為にも良いのではないかと思うのだ。決して大げさな話ではなくて・・・。

