2011/12/01 高森 郁哉
テレワークセンター多摩、社会実験の参加者を募集中[PR]

社団法人日本テレワーク協会は現在、ベルブ永山(多摩市永山1-5)4階に開設した社会実験施設「テレワークセンター多摩」の利用者を募集中だ。同協会が国土交通省の委託を受けて実施している「テレワークセンターの社会実験」の一環で、多摩市のほか都内3カ所(品川、東京、霞ヶ関)、関内、幕張の計6カ所で展開。デスク、インターネット接続環境、コピー機やプリンタ、ノートパソコン(一部)を備えたワークスペースが、実験期間中の来年1月31日まで(予定)無料で利用できる。今回の社会実験の趣旨や施設の概要などについて、日本テレワーク協会の客員研究員、古矢眞義氏に話をうかがった。
テレワークとは、情報通信技術を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方
同協会の前身は1991年に任意団体として発足した「サテライトオフィス協会」(93年に社団法人化)。テレワーク発祥国であるアメリカでは、当時すでに通勤に伴う交通渋滞や大気汚染といった問題への対策として、在宅勤務を中心にテレワークの普及が始まっていた、と古矢氏(左写真)は説明する。日本ではネットワーク整備の遅れなどの事情から、まず大企業が郊外にサテライトオフィスを構える取り組みがスタート。こうした「雇用型」のワークスタイルに加え、インターネットの普及に伴いSOHOと呼ばれる「自営型」テレワークが一般化してきたことを受け、同協会も2000年に現在の「日本テレワーク協会」に改称した。通信・IT系の大企業をはじめとする136社が会員となり(2011年10月26日現在で正会員48、賛助会員88)、国内外のテレワークの調査研究、普及啓発、行政への政策提言などを行っているという。
情報通信技術(ICT)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークにより、企業側はコスト削減や生産性向上などの効果が期待できる。また社員や自営業者にとっても、職住近接によるワークライフバランス向上や効率性向上が望める。さらに、今年3月の東日本大震災以降、「事業継続計画(BCP)の観点からもテレワークへの注目度が高まっています」と古矢氏は指摘する。テレワークで事業拠点を分散させておくことで、緊急事態が発生した際の事業継続や早期復旧が見込めるというわけだ。
テレワークセンター社会実験の目的
冒頭で述べた通り、今回の社会実験は国土交通省の委託を受けて実施している。実験期間は10月25日から2012年1月31日までの約3カ月間を予定。期間中は利用料を無料とすることでなるべく多くの企業や自営業者などに参加してもらい、アンケート等による情報収集でテレワークの効果を検証し、また将来の面的な展開に向けた検討も行うという。
テレワークセンターには、都心型テレワークセンターと郊外型テレワークセンターの2つの形態がある。都心型は、主としてモバイル勤務を行っている人の利用を想定。一方の郊外型は、都心への通勤者が多いニュータウンなどの郊外に設置され、企業の従業員が長距離の通勤をせずにテレワークセンターで勤務したり、地域の自営業者やSOHOワーカーなどに利用してもらうことを目的としている。
テレワークセンター多摩の特徴
ベルブ永山のテレワークセンター多摩はもちろん後者の「郊外型」だ。社会実験の他の5拠点が民間の事業者により運営される施設の一部を「間借り」する格好でブースを作ったのに対し、多摩だけは日本テレワーク協会がビルオーナーの新都市センター開発株式会社と特別に短期間の賃貸契約を結び、レンタルの備品などを活用して新たに構築。ゆったりとした空間に、ブース席4席、セミオープン席2席、オープン席2席、会議室、ラウンジを配置した。
一部の席に設置されているノートパソコンは、使用中に保存したデータや履歴などをシステム終了時にすべて消去するセキュリティソフトがインストール済み。LANが構築され各席から有線でインターネットに接続できるほか、施設内は無線LANでも接続可能だ。
プリンタ、コピー機、複合機も利用でき、コピーや印刷も無料というのはありがたい。あまりに大量のコピーは控えてほしいが、「常識的な範囲で使っていただく分には構いません」と古矢氏。
同協会は今回の社会実験に合わせて専用サイトを立ち上げており、このサイトで趣旨や施設概要などの情報提供を行うほか、実験への参加申し込み、利用予約も受け付けている。利用可能時間は平日が午前9時から午後8時まで、土曜が午前9時から午後6時まで。日曜祝日は休みとなる。
実験期間終了後の展望
来年1月末に社会実験が終了したあと、テレワークセンターの施設はどうなるのだろうか。まず委託を受けた事業であり、検証結果を報告する必要があるため、2月頃に検証結果の取りまとめを行うという。なお、多摩の施設に関して、古矢氏は「それまでの利用状況をふまえ、また有料化も検討しながら、なんらかの形で継続できればと考えています」と見通しを示した。来春以降の運営は未定だが、民間のテレワーク施設運営事業者との連携や、テレワーク関連情報を一元的に発信し予約窓口の機能も備えるポータル型サイトの開設など、さまざまな普及促進策を検討して行きたいとのこと。
古矢氏は、多摩ニュータウンでは都心に通勤する層のほかにも、NPOや任意団体などで地域密着型の事業にかかわっている人たちや、定年退職後に今までの経験を活かし起業したシニア層、また起業を検討している人にも注目しているという。さらに、“SOHOエージェント”と呼ばれるような会社や個人が、異なる専門分野を持つSOHOワーカーたちをまとめ、全体として一定規模の業務を受注する形態も増えてきていることを指摘し、「テレワークの環境はそうした新しいワークスタイルや仕事のつながりに役立つはず。ぜひ大勢の方々に利用してもらい、地域のニーズに合ったテレワークセンター作りに参加していただきたいと思います」と古矢氏は語った。

